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インド人の夫とベルギーで2人暮らし中。30代前半から仕事を辞めて海外1人旅をスタートし帰国後夫と出会って国際結婚したり海外移住したり。何歳になっても勉強しながら楽しく自由に生きることを誓います。

オーストラリア代表 失敗からの再出発「ザ・テスト」でクリケット入門 

こんにちは〜ナマステナマステ〜🙏
インド人の夫、ニレちゃんによって日々じわじわとクリケットの世界に引きずり込まれている私です。
今日は皆さんも道連れにしようと目論みながらこれを書いています。

というのも入口としてピッタリのドキュメンタリーに出会ったのです。
試合は見たことがなくても、これで必ずクリケットに興味が湧いてしまう…という紹介したくなるほど面白いシリーズだったので、みなさんぜひちょっと覗いてみてください。

🔽Amazon Primeで視聴できます(Netflixにはありません…)
「ザ・テスト ~クリケット オーストラリア代表の新時代~」(字幕版)

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さて、以降は要点のまとめと私の感想です。
見られる方は、このドキュメンタリーが作られる背景となった以下の事件だけ把握しておけば第1話をスムーズに理解できるかと思います


(背景)国を背負ったオーストラリア代表が犯した過ち

さて、みなさん。人生で何か大きな過ちを犯してしまったことはありますか。
それを多くの人の眼の前で晒してしまったことはありますか

2018年3月24日、クリケットの世界を揺るがすある事件が起きました。

南アフリカで開催されていたオーストラリアVS南アメリカの5日間にわたるテストマッチの3日目の試合中、オーストラリアのフィールダー(守備手)が隠し持っていたサンドペーパーを使用して、こっそりとボールの表面を削ったのです。

(実際の映像はこちら)
www.youtube.com

その映像はカメラにしっかり捉えられてしまい、この違反に関与していることが発覚したキャプテンのSteve Smith(スティーブ・スミス)と副キャプテンのDavid Warner(デビット・ワーナー)は次の日からそのポジションを降ろされ、試合終了後は12ヶ月間にわたる出場停止の謹慎処分を受けました。実行者のCameron Bancroft (キャメロン・バンクロフト)は指示を実行に移したとして9ヶ月間の謹慎となりました。

国民のクリケット愛が強すぎて、もともと自国の選手に対してもブーイング等アグレッシブな応援をすることで有名なオーストラリアのファンたちはこれに大激怒。「自国のプライドを汚した」と関係者を激しくバッシングしました

またオーストラリアの当時の首相 Malcolm Turnbull(マルコム・ターンブル)まで事件当日メディアの前に登場。クリケット協会の会長に直接電話し、この事件が大変残念な出来事であること、今後強硬な行動が取られるべきであると伝えたことを明らかにしました。

ボール細工事件の理由。バンクロフトがなぜボールを削ったか

どうしてわざわざそんな違反を企てたのでしょう。それはクリケットのルールに理由があります。

ボウラー(投手)がボールを投げる際はバウンス(ワンバウンド)させるのが投球のルール

開催地のフィールド、特にピッチ(中央の投球・バッティングの場所)の状態はさまざまです。青々した芝のものもあれば乾燥しているところもあり、平坦さや硬さなども球場によって異なります。毎回違うコンディションでボールを思い通りの方向にバウンスさせるのは熟練のボウラーにも難しいところです。

それを更に難しくするのがボールの形状です。
クリケットのボールは革で縫われており、ボールの中央が出っ張った形状をしています。
テストマッチでは、ボールは攻守が交代するたびに新しいものが使用されるのですが、新しいボールほど回転がかかりやすくバウンスが激しく、バッツマン(打者)にとっては打ちにくいという特徴があります

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試合が進むにつれてボールが馴染んでくるとバッツマンにとって有利になっていくのですが、その間に投手や守備手はボールの回転が鈍らないよう、片面をつるつるに保ち、もう片面を使い古した状態にしようと手やユニフォームでボールをこすります
それでも理想の状態となるまでにはどうしても時間がかかってしまうため、キャプテンたちが画策し、新人の選手にサンドペーパーを使ってこするよう指示してしまったという訳です。


その後のチームの建て直しを描く物語「ザ・テスト」

不名誉な事件でクリケット界全体を湧かせてしまったオーストラリアのナショナルチーム。
監督も新たに、そこから立ち直りを賭けた厳しい日々が始まります。その復活の物語を2年かけて記録したのが「ザ・テスト」です。

全8エピソード、43~61分。IMDb(インターネット・ムービー・データベース)も9.1と超高評価です。…ちょっと見たくなってきましたか?

「ザ・テスト ~クリケット オーストラリア代表の新時代~」見どころ

この全8回にたくさんの物語が詰め込まれています。個人的にまとめてみると、以下のような内容です。

ザ・テストの注目ポイント
  • チーム力をどう高めるか。コーチ(監督)に求められるもの
  • 選手それぞれの個性と長期にわたる共同生活の影響
  • 選手のスランプとの向き合い方と、選手を選ぶコーチの判断
  • 強いチームとの戦い方、強い選手の攻略法
  • 負けている時、勝っている時に必要なマインド
  • 過ちから人はどう立ち直ればいいのかという命題

チームを率いるコーチの闘い

チームの建て直しを率いる役としてコーチを任されたのは、Justin Langer(ジャスティン・ランガー)
スター選手2人が抜けてしまったチームは実力面でも精神面でも課題が山積み。トレーニングでもオフの時間のアクティビティでも、コーチは出来ること全てを動員してチーム力を高めようと奮闘していきます。

ある時は「コーチが怖すぎて発言がしにくい」というミーティングでの選手の発言を真摯に受け止めたり、扱いにくいけど実力は確かな選手にどう自分の意志を伝えようと策を練ったり。感情を顕わにするときもあれば、反省して落ち込むときも、見えた希望に大興奮するときもあります
完璧ではないけど、何度も自分のやり方を自身に問いながらその時々で答えを出していく人間味のあるコーチ。8話見終わって気づくと大ファンになっていました。

自由で選手たちの個性

クリケットのテストマッチはその試合の長さでも有名です。
1試合が5日間で長いときには5試合続くため、国際試合のたびに3~6週間ほどの長期遠征になります
ナショナルチームの選手たちはイギリス、南アフリカ、オーストラリア、ニュージーランド、インド、パキスタン等、試合の開催国に長期間滞在することになります。

長時間を共にするので、時間の過ごし方もそれぞれの個性が出てきます。
仲良し2人組がいたり、強い選手のあとを追いかけて下っ端の役目をする選手がいたり、自我が強い1匹狼タイプがいたり。
この2人は他で出会っても友達にはならなそうだな…という関係でも、チームだから…とお互いの趣向を認め合い、いい関係を築いていく過程に心打たれます。


人はどう過ちから立ち直れるのかという命題

後半7,8話で謹慎処分になっていた元キャプテンのスティーブ・スミスと副キャプテンのデビット・ワーナーがチームに戻ってきます。1年間練習に参加できず、奥さんにボールを投げてもらってバッティング練習したり、ひたすら素振りしたり…の辛い時間を過ごしてやっとです。
こんな時、自分だったらどう振る舞うだろう。そんな考えも幾度となく頭に浮かんできます

さて、2人がカムバックする初の国際試合がThe Ashes(ジ・アッシズ)という1882年に始まったイングランドとオーストラリア間の伝統ある試合なのですが、2人に対する観客からのブーイングが凄まじい。その空気の振動が選手の皮膚に伝わるほどです
そんな中冷静に、ただ自分自身だけに集中しようと努めた2人がどんなパフォーマンスを見せるのかもぜひご注目です。
アスリートの集中力の深さやプレッシャーへの打ち勝ち方。彼らはやはり非凡な存在だということを見せつけられます。同じ1人の人間として「あなたはこの人をどう捉えましたか?」と問いかけられたような気もしていました。

最後に…

クリケットの試合を見ているだけでは全く想像がついていなかったその裏側のドラマを見て、普段人はこういう物語まで追いかけながらスポーツ観戦しているのかもしれないな、と選手はもちろん、ファンに対しても尊敬の眼差しをおぼえた作品でした。実際の試合ももう少しスポーツに興味のない人でも、なにか迷っている時に自分を励ましてくれるようなシリーズです。お時間あればぜひ見てみてくださいね。


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